運慶(12世紀半ば~1223)は平安末期から鎌倉時代に活躍した仏像製作者(仏師)であり、奈良の興福寺の僧侶でもありました。
存在感のある仏像をつくったことで評価され、その時代の名だたる人物に仏像製作を依頼されました。運慶の仏像の存在感とは表面的な写実性にとどまらず、仏像に生命を吹き込むものでした。
その運慶が願主となり、快慶など慶派一門も協力して法華経を書写した「運慶願経」と呼ばれている写経(国宝)があります。治承4年(1180)に戦火によって東大寺、興福寺の主要伽藍が焼失しましたが、その再興を願い、運慶は焼け残った東大寺大仏殿の木を軸にして法華経八巻の書写を行い発願しました。紙は工人に沐浴精進させて作らせ、水は比叡山や清水寺から霊水を取り寄せて墨をすったといいます。
発願とは、その字のごとく「念願を発すること」であり、「仏に願いを託すこと」です。
武士の和田義盛とその妻は、戦乱の世にあって、亡き部下や戦相手の極楽往生に加え、自らの極楽往生も願い、浄楽寺の阿弥陀三尊及び不動明王・毘沙門天の造像を仏師運慶に依頼しました。
その依頼を受けて運慶は5尊を造像し、その願いが叶うようにと、仏像の中に心月輪を納め、仏像を仏たらしめようとお魂入れを行いました。
運慶よりものちの時代には、仏像の中に品物を納める習慣がさらに広まり、仏像を拝する参拝者や檀信徒は、時には像内に小さな仏像を納めたり、自らが浄書した写経を納めたりするなどして仏に願いを聞き入れてもらえるようにと発願しました。
運慶に習い写経や仏を作ることを通じて、自らの願いを仏に届ける体験ができます。
心月輪とは、満月を表す円に浄土の蓮を描き、中心に仏を表すサンスクリット文字を記したものです。悟りを開いた自らの心は円明無垢の月輪であると考え、仏にも同じく心に月輪があると考えて、その心の月輪が自分の心の月輪とつながったときに、仏と一体になれるといわれています。
浄楽寺にある運慶仏の像内に奉納されていた月輪形木札には、製作の日付や、製作者運慶や発願者和田義盛夫妻の名とともに、仏像の力をいちじるしく高める陀羅尼が書写されています。運慶はこの心月輪をあらわした木札を仏像内の中心に据えることで仏に魂が込められ、
それが単なる像ではなく仏となることを願いました。心月輪とは仏と自分とを繋ぐものであり、仏に込めた魂そのものなのです。
仮想空間にいる仏像にあなたの願いを届けることです。
写経として心月輪に書いた願いを仏に納めるという実際にはできない体験ができます。
日本初で新感覚のバーチャル発願をあなたも是非試してみませんか?
彫像修行では、仏師指南のもと、仏像の一部を彫刻した後彩色を施し、願いを込めて自らの仏像を作ることができます。仏師運慶の造像を追体験してください。さらに自ら作成した仏像をバーチャル空間の仏の像内に納めることで、自らの願いを仏に託す体験ができます。
体験を行う前に身を浄める「塗香作法」「心を整える瞑想」を行います。
仏師が作る仏像に衣のひだや蓮台に彫刻した後で彩色を施し、自らの仏像を作り上げる体験です。実際に作成した仏像はお持ち帰りいただけます。
発願紙に願い事を浄書します。書き終えたらバーチャル空間で奉納します。
※体験では彫刻刀を使いますので十分にお気を付けください。またプログラムにて発生した一切の事故・怪我などの責任は負いかねますことをあらかじめご了承ください。
※体験では漢字を書きます。
※体験が終了したら、実際の運慶仏を拝観いただきます。
※荒天の際は文化財保護の観点で仏像の拝観ができません。